失敗が、次の発注書に書き込まれた ― 節約記録アプリを作った理由

血圧の次に作りたかったもの

血圧記録アプリを作って、毎朝それを使う生活が定着したころ。私は次のアプリを作り始めました。

節約記録アプリです。

作りたかった理由は、血圧アプリとまったく同じでした。自分が使いたかったからです。

ただ、動機はもう少し切実でした。

60歳の前に、今がもう厳しい

これまでの記事で「60歳で収入が半減する」という話を書いてきました。定年後の心配です。

でも正直に書くと、先の話をする前に、今の家計がすでに良くありません。

そして原因は、はっきりしています。私は無駄遣いが多い。

これは自分の短所として自覚していました。自覚しているのに直らない。直らないなら、記録して見えるようにすれば変わるかもしれない。そう考えて作ったのが、節約記録アプリでした。

「使った金額を記録する」家計簿アプリではありません。「買うのを我慢した金額を記録する」アプリです。

コンビニでアイスを買おうとして、やめた。300円。それを記録する。

我慢が数字になって積み上がっていく。そういうものが欲しかったのです。

私が書いた発注書

2026年4月7日。私はAIにこう発注しました。今度は3行ではありません。

自分が買い物などを我慢して節約した記録を残すアプリを作成してください。

アプリ名「無駄遣いを撲滅、毎日コツコツ節約記録アプリ」

・「どのお店で、何を、いくら分」をコツコツ記録

→「お店」はジャンルをプルダウンで選択

ジャンルは、コンビニ、ドラッグストア、スーパー、ホームセンター、駅のキオスク、百貨店、アマゾン、メルカリ、ヤフー、楽天、その他(テキスト入力)

・サブスクなど月々の支払を減らしたり解約した記録

→解約した月以降毎月、解約または減額したサブスクの料金を節約金額に加算する

→解約したサブスクの再加入を記録できるようにして、その場合は毎月の節約金額から除外する

・1ヶ月で合計いくら節約できたかを棒グラフで見れる

・目標を設定できる機能

→一つの目標を達成したら次の目標を設定する、達成してきた目標に関して履歴を残し、どれくらいの期間で達成できたかなどの情報と一緒に閲覧できる

血圧アプリの「3行」と比べてみてください。別人が書いたようです。

特に自分でも驚いたのは、サブスクの扱いです。「解約したら翌月から自動的に節約額に加算」だけでなく、「再加入したら加算をやめる」まで指定しています。使う場面を具体的に想像していないと、こういう条件は出てきません。

たった1本アプリを作っただけで、要求の解像度がここまで変わりました。

そして、この一文を書いていた

発注書の後半に「★アプリ仕様」という項目を立てて、私はこう書いていました。

・各入力欄は1文字入力する毎に入力用キーボード表示が消えない仕様にする。

これを見つけたとき、思わず声が出ました。

前の記事で書いた、血圧アプリのあのバグです。数値を1文字入れるたびにキーボードが引っ込んでしまい、「130」と打つのに3回タップし直す必要があったあの現象。

私はそれを、次のアプリの仕様書に、あらかじめ書き込んでいました。

「こういうバグが起きないようにしてください」ではありません。「こういう仕様にしてください」と、正常な側を定義して書いています。

これが「経験を積む」ということだった

私はコードを1行も書けません。5ヶ月経った今も書けません。

でも、バグを1つ踏むたびに、私の発注書は良くなっていました。

血圧記録アプリ(1本目) 節約記録アプリ(2本目)
発注書の長さ 3行 30行以上
機能の指定 「記録・表・分析」だけ 選択肢の中身まで指定
例外の指定 なし 再加入時の扱いまで指定
不具合の予防 なし 仕様として明記

AIと開発をしていると、「AIが全部やってくれる」と思われがちです。でも実際に上達しているのは、発注する側でした。

そして上達の材料は、うまくいかなかった経験でした。キーボードが消えて苛立った朝がなければ、あの一文は書けていません。

未経験からアプリを作りたい方へ

もし今から始める方がいたら、これを伝えたいです。

1本目は雑で構いません。

私の1本目は3行の発注でした。それでも動くものが出てきました。そして使ってみて、腹が立って、直してもらって、また腹が立って——その全部が2本目の材料になりました。

完璧な仕様書を書けるようになってから始める必要はありません。 順番が逆です。作って、使って、失敗して、そこで初めて何を書くべきかが分かります。

私にとって節約記録アプリは、その証拠のような1本でした。

次回

この節約記録アプリを、私は5ヶ月間ほぼ毎日使い続けました。

そして、自分でも予想していなかったことがデータに出てきました。

「自分は無駄遣いが多い」と思っていた私が、実際にはある条件のときだけ無駄遣いをしていると分かったのです。

次回はその話を書きます。


この記事のアプリ:節約記録アプリ(紹介ページ)

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