「収益化しました」と思い込んでいた期間
個人開発でアプリを作る動機の一つは、やはり収益です。私も広告収入を目当てに、AdMob という Google の広告サービスを組み込みました。
コードを入れて、ビルドして、配信して。「これで収益化は完了」 と思っていました。
しばらく経って、収益が0円のままなのを不思議に思って調べました。
そして分かったのが、これです。
広告が、1つも表示されていませんでした。
何が起きていたのか
原因はアプリごとに違いましたが、共通していたのは「コードは書かれていたが、実際には呼び出せていなかった」ということです。
節約記録アプリの場合は、広告を出すためのプラグインを参照する名前が間違っていました。存在しないものを呼んでいたので、当然何も起きません。
ここで厄介なのは、エラーが表示されないという点です。
画面が真っ白になるわけでも、アプリが落ちるわけでもない。ただ、広告が出るはずの場所に何も出ないだけ。 知らなければ「まだ広告の配信が始まっていないのかな」と思って終わりです。
気づけなかった3つの理由
なぜ長い間気づかなかったのか。振り返ると理由は3つありました。
1. 「実装した」と「表示されている」を混同していた
コードを入れた時点で完了だと思っていました。実際には、コードを入れることはスタート地点にすぎません。
2. 広告が出ない状態が「普通」に見えた
AdMob は、審査中や配信開始直後は広告が出ないことがあります。だから「出ていない」状態を見ても、異常だと思いませんでした。
3. AIには見えなかった
これは前の記事にも書いたことですが、AIが見ているのはコードです。コードとして書かれている以上、AIにとっては「実装済み」なのです。 私のスマホの画面のどこに何が表示されているかは、AIには見えません。
どうやって確認すればよかったか
今なら、こう確認します。
① まずテスト広告で出す
AdMob にはテスト用の広告IDが用意されています。これを使うと、審査や配信状況に関係なく、必ずテスト広告が表示されます。
テスト広告が出ない = 実装がおかしい、と即座に切り分けられます。本番IDでいきなり試すと、「出ない理由」が実装なのか配信側なのか分からなくなります。
② 実機の画面を目で見る
当たり前ですが、これが一番確実です。エミュレータではなく、実際に配信されるアプリを実機で。
③ アプリ内の WebView に開発者ツールを繋ぐ
ハイブリッドアプリの場合、これができると一気に確実になります。エラーがコンソールに出ているかどうかを直接見られます。
もう一つの落とし穴:広告が浮く
広告が出るようになってから、別の問題も見つかりました。
バナー広告が、画面の下端から不自然に浮いていたのです。ナビゲーションバー(画面下の戻るボタンなどが並ぶ帯)の分だけ、隙間が空いていました。
原因は、余白の二重計算でした。アプリ側で「ナビゲーションバーの分だけ余白を空ける」処理をして、広告のプラグイン側でも同じことをしていた。結果、2倍の余白が入っていました。
Android 15 以降は画面の描画方式が変わった影響で、このあたりの挙動が特に噛み合いにくくなっています。
後日談:公開してからも、広告は絞られていた
2本を正式公開したあと、AdMob の管理画面には「要審査 ― 広告配信を制限しています」という表示が出続けていました。
app-ads.txt というファイルを設置し、正しく読めることも確認しました。それでも1週間、状況は変わりません。最後は Google のサポートに問い合わせて、ようやく原因が分かりました。
Play ストアの掲載情報に「デベロッパーのウェブサイト」が登録されていなかったのです。
Google は、ストアに登録されたウェブサイトを起点に app-ads.txt を探しにいきます。その欄が空だったので、ファイルは置いてあるのに、見つけてもらえませんでした。
しかも私は、ストアのページを見て「ウェブサイトのリンクは出ている」と確認したつもりでいました。実際に表示されていたのは、同じアドレスで登録していたプライバシーポリシーのリンクでした。
この記事で書いたことを、もう一度やっていたわけです。設定画面を開いて、その欄そのものを見たら、空欄でした。
設定し直した翌々日の朝、AdMob から2通のメールが届きました。件名は「アプリが承認されました」。管理画面の表示も「確認が完了しました」に変わり、広告配信の制限は外れました。
空欄を埋めてから、承認までおよそ36時間。1週間まったく動かなかったものが、原因さえ分かれば1日半で終わりました。
制限に気づいたのが9月9日、解決したのが9月18日。9日かかっています。そのうち6日は、自分で調べて手探りしていた時間でした。自力で分からないことは、思っているより早く公式に聞いたほうがいい。 今回いちばん身にしみたのは、これです。
制限が外れて数字がどう動くかは、しばらく様子を見てから、あらためて書きます。
収益化を目指す方へ
私の失敗から言えることは、この一点です。
「実装した」ではなく「表示されているのを自分の目で見た」を完了の基準にしてください。
そして、もし個人開発で広告収入を考えているなら、正直な数字も書いておきます。
2本のアプリを正式に公開した今でも、広告収入は先月が49円、今月は半月で57円です。
広告収入というのは、まずダウンロードされることが前提です。実装ができた時点では、スタートラインに立っただけでした。
そのスタートラインに立つまでに、私は何ヶ月もかけて、しかも表示されていないことに気づかない期間まで作ってしまった。
同じ失敗をする人が一人でも減れば、この記事を書いた意味があります。

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