製品版アクセス申請の質問に、何と答えたか ― 2本は通り、3本目は一度落ちてから通った

14日のあとに、もう1つ関門がある

Google Play に個人の開発者アカウントでアプリを出すには、まず12人のテスターに、14日間クローズドテストに参加してもらう必要があります。私がここで苦労した話は、50日間テスターが集まらなかった記事と、26時間で10人集まった記事に書きました。

ただ、14日を越えても、それで一般公開になるわけではありません。ダッシュボードの「本番環境へのアクセスを申請」というボタンから、Google の質問に答えて審査を受ける段階が、もう1つあります。

私はこれまでに3本のアプリで、この申請をしました。

アプリ 申請した日 結果
ワードバトル(中高生向けの勉強アプリ) 8月31日 約2日17時間で承認
節約記録アプリ 9月4日 約4日半で承認
ゴルフのスコア集計アプリ 10月3日 10月6日に不承認 → 10月20日に再申請 → 10月22日に承認

この記事では、質問の形と、私が実際に何と答えたかを書きます。3本目のゴルフのアプリは一度落ちたので、落ちたあとに何をして、再申請で何と書いたかも書きます。これから申請する方の参考になればうれしいです。

質問の形

申請のボタンは、14日に届くまでは押せません(灰色のままです)。押せるようになると、3つのステップに分かれた質問が開きます。

ステップ 質問 答え方
1 テスターをどうやって募集したか 自由記述
1 募集はどのくらい容易だったか 5択
1 テスターはアプリをどう使ったか(本番の利用者と違いがあれば詳しく) 自由記述
1 テスターから受け取ったフィードバックの要約と、集め方 自由記述
2 対象の利用者 自由記述
2 アプリの特徴、ほかとの違い 自由記述
2 1年目のインストール数の見込み 5択
3 テストで学んだことをもとに加えた変更 自由記述
3 本番に出す準備ができたと判断した根拠 自由記述

自由記述はどれも300字以内です。ボタンは「次へ」「次へ」と進み、最後の「適用」が送信でした。

Google のヘルプページには、良い回答の目安として、フィードバックを記録して改善につなげたこと、テスターが対象の利用者を代表していること、安定性をどう確かめたか、を示すことが挙げられています。

5択の2問は、3本とも同じ答えにした

  • 募集の容易さ →「どちらでもない」
  • 1年目のインストール数の見込み →「0〜1万」

ゴルフのアプリは、募集を始めて4日で12人に届きました。数字だけ見れば「簡単」です。でもそれは、こちらも相手のアプリを入れて14日間持ち続けるという約束を重ねた結果でした(最終的に、入れたアプリは15本になりました)。「簡単」とまでは言えないと考えました。

インストール数は、控えめで現実的な数字を選びました。大きな数字を書けば、その根拠を問われると考えたからです。

いちばん迷った質問:テスターは、本番の利用者と同じ使い方をしたか

正直に言うと、同じではありませんでした。

私のテスターは、ほとんどが個人でアプリを作っている開発者です。お互いのアプリを入れ合う相互テストで集まった方々なので、ワードバトルなら対象の中高生ではありませんし、ゴルフのアプリなら、ゴルフをしない方が大半でした。

質問は「違いがあれば詳しく説明してください」と、はっきり求めています。ここを取り繕うほうが危ないと考えて、違いをそのまま書きました。そのうえで、違いがあったからこそ得られたことも書きました。

ワードバトルでは、「開発者なので、不具合を見つける目は普通の利用者より厳しい。一方で、毎日続けて勉強するという使い方は確かめられていない」という趣旨で書いています。

ゴルフのアプリで実際に送った文は、これです。

テスターは主に個人開発者で、ゴルフをしない方が多数でした。プレイヤーの登録、18ホールのスコア入力、ドラコン・ニアピン・オリンピックの記録、集計、ラウンドの保存まで一通り操作されています。一方、本来の利用場面である「実際のラウンド中に、同伴者の分まで1台で入力する」使い方は検証できていません。その違いがあったからこそ、ゴルフを知らない人がどこから入力すればよいか迷う、という初見の分かりにくさを指摘してもらえました。

フィードバックは「報告→原因→修正→確認」の往復で書く

フィードバックの質問は、いちばん材料があって、いちばん書きやすい質問でした。テスターとのやり取りが、すべてコミュニティの募集スレッドに残っていたからです。

ワードバトルでは、次の3件を書きました。

  • BGM をオンにすると、アプリを閉じても鳴り続ける
  • 広告バナーと画面の下端のすき間から、アプリの中身が見える
  • 対戦の途中でほかの画面に移ると、裏で問題が進んでしまう

どれも、報告を受けて原因を突き止め、直した版を配りました。BGM とすき間の2件は、報告してくれた方ご本人に、直ったことを確かめてもらえました。その往復を、そのまま書いています。

ゴルフのアプリでは、こう書きました。

Discordの募集スレッドで収集しました。①最終ホールの完了メッセージが広告バナーの裏に隠れる(報告当日に原因を特定し、翌日v1.0.3を配信)②1台で全員分を入力する前提が分からない(3人から指摘。v1.0.4で設定画面とストア説明文に使い方を追記したが、その後も同じ声があった)③ドラコン・ニアピン等の用語が分からない④「新しいラウンドを始める」が集計画面の奥にあり、確認ダイアログに保存の選択肢がほしい。②〜④は次版で対応します。

①の不具合は、メッセージが広告の裏に隠れていた記事に書いた件です。

②は「直したつもりでも、同じ声が続いた」と書いています。直しきれていないことも、そのまま書きました。

自分の失敗も、変更の欄に書いた

ワードバトルの「加えた変更」には、自分で壊した版のことも書きました。

テスト期間中に出した v1.1.3 は、たった1行の CSS のせいで、画面がまったくスクロールできない版になっていました(この記事に書いた件です)。自分で見つけて、2日以内に直しました。

「準備ができたと判断した根拠」の欄には、この失敗のあと確かめ方を変えたことを書きました。パソコンのブラウザで確かめるだけでは、この不具合を見逃したからです。それ以後は、実際のスマホと同じ環境でアプリの画面を動かして確かめるようにしています。

失敗を書くのは、正直ためらいました。それでも、失敗と、そこから変えたことを一緒に書くほうが、「問題はありません」とだけ書くより伝わると考えました。

確かめていないことは、書かなかった

ゴルフのアプリでは、書けそうで書かなかったことが3つあります。

  • 「報告者が修正を確認した」 … ワードバトルでは書けましたが、ゴルフのアプリには、直した版を報告者が確かめたという記録がありません
  • 「クラッシュは0件」 … Play Console で調べると、利用者が少ないために「データを使用できません」という表示でした。0件とは言えません
  • 「ゴルファーからも好評」 … ゴルフをするテスターは1人だけで、その方からゴルフについての意見はもらっていません

どれも、書けば回答は良く見えます。でも、確かめていないことを書けば、それは嘘になります。

結果:2本は通り、3本目は落ちた

ワードバトルは、申請から約2日17時間で承認されました。申請のあとの画面には「通常、審査の所要時間は 7 日ほど」と出ますが、それより早く届きました。結果は、開発者アカウントのメールアドレスにメールで届きます。節約記録アプリは約4日半で承認されました。

ゴルフのアプリは、申請から3日後の10月6日、不承認でした。 さらに14日間、テストを続けるように、という知らせです。

メールには、よくある理由として「テスターがテストに関わっていない」「フィードバックを集めて、アップデートで応えていない」などが並んでいました。どれが当てはまったのかは、書かれていません。

落ちたあとに、したこと

思い当たるのは、2つ目でした。最初の申請では、テスターの声のうち3つに「次の版で対応します」と書いたまま、直した版を出す前に申請していたからです。

そこで、テスターの声に応える更新を2回出しました。

版 公開した日 もとになった声 直したこと
1.0.5 10月7日 3人のテスターの「どこから入力すればいいか分からない」など 使い方を3ステップで表示/ドラコンなどの用語に「?」の説明/新しいラウンドのボタンを画面の上に出し、保存してから始めるかを選べるように/配点を途中で変えられるように
1.0.6 10月17日 実際のゴルフ場で使った釣り仲間の要望 IN(10番)からのスタート/好きなホールへすぐ移動/9ホールと27ホールにも対応

2回目の更新には、少し経緯があります。

9月30日、私は自分のラウンドで、初めてこのアプリを使いました。スコアさえ入れれば自動で集計してくれて、非常に便利でした。ただ、配点の変え方には戸惑いました。

10月には、テスターとして自分のスマホにアプリを入れていた釣り仲間が、私のいないゴルフ場で使ってくれました。あとで届いたのが、INから回るスタートと、好きなホールへすぐ移動できる機能の要望です。最初の申請で「検証できていません」と書いた「実際のラウンドでの使い方」から、初めて届いた声でした。

どちらの更新も、テスターの集まる募集スレッドで知らせて、更新と感想をお願いしました。

再申請で書いたこと

再申請のフォームは、4つのステップに増えていました。 最後に「今回はどう変えましたか?」と聞く欄が加わっています。開くと、前回の回答が全部の欄に入ったままでした。

前回の回答を下敷きにして、変わったところを書き直しました。新しい欄には、こう書いています。

前回の申請のあと、テスターの声に応える更新を2回配信しました。v1.0.5では、使い方が分からないという3人の声などから4点を直しました。v1.0.6では、テスターとして参加したゴルフをする知人が実際のラウンドで使って出した要望から、IN/OUTスタートの選択、任意のホールへの移動、9ホールと27ホールへの対応を加えました。どちらの更新もDiscordのスレッドで告知し、更新と感想をお願いしています。12人のオプトインを保ったまま、審査日から14日以上テストを続けました。

ここでも、書かなかったことがあります。1回目の更新を知らせた投稿には、再申請の準備をした時点で、まだ反応がありませんでした。だから「感想が集まった」とは書いていません。

10月20日に再申請して、10月22日の朝に承認のメールが届きました。約1日半です。その夜に製品版を審査に出し、10月25日、ゴルフのアプリが Google Play で公開されました。

ひとつ、私が気をつけていたことがあります。審査中も、12人のテスターには参加し続けてもらいました。「もう抜けて大丈夫です」と伝えたのは、公開の翌日です。不承認で延びた分も含めて、最後まで付き合ってくださった12人には、感謝しかありません。

まとめ

回答の文面はAIと相談しながら作り、最後は自分で読んでから送りました。3本を通して守ったのは、次の3つです。

  1. 弱点は隠さず、違いをそのまま書く
  2. フィードバックは、報告から確認までの往復で書く
  3. 確かめていないことは書かない

そして、3本目で落ちて分かったことが、もう1つあります。

  1. 「次の版で直します」と書くより、直した版を出してから申請する

300字の短い欄ですが、テストの2週間で何をしたかが、そのまま問われる質問でした。


この記事のアプリ:ワードバトル/節約記録アプリ/ゴルフ仲間の金銀銅集計(紹介ページ)

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